2025年9月5日、トーマス・アレクサンダー・コルベによる新しいアンビエント・シングル「This Gentle Disappearance」がリリースされます。本作は、死を前にした内面的な手放しの瞬間に焦点を当てた、静謐で完全にインストゥルメンタルな作品です。
この楽曲は個人的な喪失の体験に触発されて制作されました。とりわけ、コルベが深く敬愛し続ける二人の偉大なアーティスト――ティナ・ターナー(2023年5月24日逝去)とロバータ・フラック(2025年2月24日逝去)の死が創作の背景にあります。
リズム構造、歌声、旋律的モチーフは一切使用されていません。その代わりに、約20分間にわたって、繊細に重ねられた音のレイヤーが、ゆるやかに繋がる3つのフェーズを形成します。第一段階では内なる静けさの兆し、次にゆっくりとした手放しの過程、そして最後はかすかに聞こえるかどうかの音の消失。
この音楽は決して感傷的に語ることなく、徹底的な削ぎ落としによって主題に接近します。音はごくわずかに現れ、やがて丁寧に消えていきます。そこに残るのは「失う」ことではなく、「完成された解放」ともいえる感覚です。
カバーアートは、光の中に溶け込む人影の断片を、グワッシュのタッチで描いたもの。そこに描かれていないもの――もう何も握らず、何も握る必要のない瞬間――それがこの作品の核を静かに映し出しています。
「This Gentle Disappearance」は2025年9月5日に配信限定でリリースされます。